自動車整備工場の開業に必要なものは?整備士が独立するメリットと課題を解説! | 株式会社ダウイン

自動車整備工場の開業に必要なものは?整備士が独立するメリットと課題を解説!

2022/11/28

自動車整備士として働いている方の中には「いつかは自分の整備工場を持って独立したい」「今よりも稼げるようになりたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
自動車整備工場を開業して経営が軌道に乗れば利益も大きいですが、そのためには様々な課題をクリアしなければなりません。

今回は、自動車整備士が独立して自動車整備工場を開業するメリットと課題、開業に必要な条件について解説します。


目次





自動車整備工場開業のメリット

自動車整備士が独立して自動車整備工場を開業するメリットは、自分の思ったように仕事ができる点でしょう。
雇われて働く場合、やりたくない業務を任されることもありますし、当然上司の指示を聞かないといけません。
そのような働き方が向いていないと感じる人にとって、自由に仕事ができることはとても魅力的です。

収入も給与ではなく、売上からの取り分を自分で決められるのが大きなメリットです。
工場が軌道に乗って規模が大きくなれば、企業に勤めるよりも高収入が見込めるでしょう

一方で、仕事が軌道に乗るまでは休みを十分にとれない、収入が少ないといった時期を乗り越えないといけません。
自分がどのような自動車整備工場にしたいのか、どのように利益を上げていくのかといったビジョンが明確になっている人でないと、成功することは困難です。



自動車整備工場の開業とは?

一般的に自動車整備工場を開業する場合、地方運輸局長の承認を得た「認証工場」の開業を指します。
実は、認証を受けなくても自動車整備工場の開業は可能です。
ただし、認証を受けていない工場では分解整備を必要とする整備・点検が行えません。

分解整備を行わない場合の業務には、カーナビやドライブレコーダーの取付けといった簡単な整備がありますが、これだけで経営を続けることは実質困難です。

しっかりと整備・点検を行う自動車整備工場を開業するなら、「認証工場」の開業を目指しましょう
地方運輸局長の承認を受けるためには、従業員や設備に関する条件をクリアする必要があります。




認証を受けるための条件

ここからは、自動車整備工場(認証工場)開業の条件についてご紹介します。
地方運輸局長の承認のための条件は「従業員」「工場」「設備」の3つに分けられます
ひとつずつ見ていきましょう。

従業員

認証工場の従業員の条件は次の通りです。

  • 従業員は2名以上
  • 従業員のうち少なくとも1名が自動車整備士2級以上の有資格者であること
  • 従業員のうち1/4以上が自動車整備士(1~3級)の有資格者であること
  • 整備主任者を1名以上置くこと

条件からわかるように、1人で認証工場を開業することはできません。
開業に必要な最小人数の構成は、自動車整備士2級以上で整備主任者を兼任する人が1名と、分解整備を行う従業員(資格の有無によらず)1名の、合計2名となります。

工場

工場には作業ごとに以下のようなスペースを設ける必要があります。

  • 車両整備作業場
  • 点検作業場
  • 部品整備作業場
  • 車両置き場

各作業場の面積は、整備を行う自動車の区分や整備対象の装置によって必要な面積が定められています。
面積に関わる条件以外にも、工場を設置する土地や建屋が建築基準法や消防法、条例などの規制に適合するか事前に確認が必要です。
これらの条件は自治体により異なるので、詳細は自動車整備工場を開業する地域の自治体にお問い合わせください。

整備工場用の物件にかかる費用は、立地条件や築年数によって大きく変わります。
築年数が古い中古物件の方が初期費用は安く抑えられますが、修繕費や維持費が高額になるためよく検討しましょう。

設備

エアコンプレッサーやトルクレンチといった分解整備・点検に必要な機器を工場内で保有する必要があります。
操縦装置や制御装置、原動機など整備対象の装置ごとに必要な機器は異なりますが、全ての装置に対応させる場合は30種類もの機器が必要です。

全ての機器を買い揃えると最低でも数百万円はかかると言われています。
整備の対象とする装置の数を絞ったり、機器をレンタルで準備したりすることで初期費用を抑えられるでしょう。



自動車整備工場開業の課題

自動車整備工場が地方運輸局長の承認を得るための条件をご紹介しましたが、自動車整備工場の開業にはこれ以外にも様々な課題があります。
ここからは、主に自動車整備工場の経営に関する課題について見ていきましょう。

初期費用

自動車整備工場の開業時に一番の課題となるのは、高額な初期費用です。
設備・工場にかかる費用が大きいですが、人件費や広告費など諸々の費用を合わせると少なくとも2,000万円以上、高いと1億円近くになると言われています。

これだけの資金を用意する場合、銀行などの金融機関や中小企業向けの融資事業を行う日本政策金融公庫から資金調達をしなければなりませんが、もちろん容易にお金は貸してくれません。
融資を受けるには事業計画書などを作成し、その内容をもとに面談を行って金融機関を納得させる必要があります。

これらの準備には事業計画書の作成支援などを行う企業に相談すると安心ですが、自分でも会計についての知識を学んでおくと、説得力のある計画作りや面談での説明を行うのに役立つでしょう

コンセプト

事業を成功させるうえで最も重要なのが、開業にむけての情熱や構想をコンセプトとして具体的に打ち出すことです。
コンセプトが固まらないと事業計画が作成できません。
仮に開業できてもコンセプトがあいまいでは経営方針がぶれてしまい、事業を成功させるのは難しいでしょう。

自動車離れが進む近年では、自動車整備工場の仕事だけで利益を出すのが厳しい状態です。
小規模な自動車整備工場でも利益を出していくには、中古車販売やレンタカー事業を兼業するなど、事業の独自性(セールスポイント)を打ち出す工夫が必要となります。
このように自動車業界の動向や開業する地域のニーズをふまえて、より魅力的なコンセプトを練りましょう

ちなみに中古車販売なども兼業で行う場合は、古物商許可証など事業に応じた必要資格の取得や申請が必要になります。

営業活動

営業活動を行わなければ、新しくできた工場にお客様は来てくれません。
地域に根ざした自動車整備工場を目指すなら、独立前に人脈を作っておいたり、町内会などに参加して地域密着の修理屋として顧客を得るのも手でしょう。
中古車販売など兼業を活かす場合はホームページなどを作成し、幅広く宣伝活動を行う方法もあります。
この場合、特定の車種に特化した品揃えなど、店の独自性を出せると遠方からでも集客できる可能性が上がります。

いずれの場合も、開業前から自分の自動車整備工場のコンセプトに合わせた営業活動や宣伝活動を行い、開業してもお客様数ゼロのスタートということが無いようにしましょう。



 

独立開業以外に、転職の道も検討しよう

先に挙げた課題からわかるように、自動車整備工場の開業には整備士としての知識や経験も必要ですが、それ以上に資金調達や営業活動など、経営に関する知識や能力が必要です。
そして自分が経営したい自動車整備工場のコンセプトが明確で、熱意を持って取り組めるかが最も重要になります
そのため、あくまで整備士としての技術で食べていきたいという方には、独立はあまりおすすめできません。

「独立は難しそうだけど、整備士の技術を生かして収入を上げたい」「労働環境を変えたい」という方は「転職」を検討してみてはいかがでしょうか。
今と別の仕事をしてスキルアップしたいという方や、将来開業するためにもっと経験を積みたいという方にも転職がおすすめです。
転職先を選ぶ際は、給与、労働環境、やりたい職種など、自分が重視する条件を決めて比較、検討するのがポイントとなります。



 

まとめ

分解整備を行う自動車整備工場の開業には、従業員や設備に関する条件をクリアして地方運輸局長の承認を得る必要があります。
また、高額な初期費用や開業後の集客など、経営に関する多くの課題を乗り越えなくてはなりません。
独立して「経営」がしたいという明確な意志とプランがある人には、自動車整備工場の開業はおすすめです。
整備士としての「技術」を生かして収入アップや労働環境の向上を目指す人は、転職を検討してみるとよいでしょう。

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